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見た映画のことをかきます

『完全なるチェックメイト(’14)』

『完全なるチェックメイト』('14)

映画『完全なるチェックメイト』公式サイト PAWN SACRIFICE|TOP

原題:Pawn Sacrifice

監督:エドワード・ズウィック

出演:トビー・マグワイアリーヴ・シュレイバーピーター・サースガード 他

製作国:アメリカ

上映時間:115分


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あらすじ(完全なるチェックメイト : 作品情報 - 映画.comより):

アメリカとソ連が冷戦下にあった1972年。15歳の時にチェスの最年少グランドマスターになった経歴を持つボビー・フィッシャーは、その突飛すぎる思考と予測不能な行動のせいで変人として知られていた。アイスランドで開催される世界王者決定戦に出場することになったフィッシャーは、チェス最強国ソ連が誇る王者ボリス・スパスキーと対局。両国の威信をかけた「世紀の対決」として世界中が勝負の行方を見守る中、一局目で完敗したフィッシャーは極限状態に追い込まれながらも、驚くべき戦略でスパスキーに立ち向かう。

タイトルの感想:

 邦題がかっこわるすぎてショックを受けました。原題("PAWN SACRIFICE")の直訳ないしカタカナ表記にして無難に済ませたらよかったのでは?
 チェックメイトに「完全なる」という形容動詞がつく点でもすわりが悪い日本語になっている気がします。
 そもそも原題は、フィッシャーの指し手を意味するだけでなく、東西冷戦下のチェスプレイヤーたちは、国益というより大きな目的のための捨て駒だったというダブルミーニングになっているところ、どちらの意図も読み取れない邦題はかなり微妙です。

映画の感想:

 問題のある天才が出てくる映画は好きなのでこれも好きです。
 本編としては、スパスキーを打ち破った後のボビー・フィッシャーの全然嬉しそうではない顔が見どころかと思います。
 一方、盤上で何が起こっているかはほとんど見えず、解説もされないため、チェス映画ではないという心づもりで見ないと拍子抜けの可能性が高いです。
 個人的には、「すごいもの」を描くうえでは、言葉で「あれはすごい」「最強の◯◯」などというだけではだめで(それだとただの中二病黒歴史小説になります)、説得的な実例を出すべきかと思うのですが、フィッシャーのすごさ、あるいは敵であるスパスキーのすごさ=チェスの戦略 を見せるシーンが本編中にはほとんど登場しなかったため、「フィッシャーはなんかすごいって言われてるからすごいんだろう」以上の実感を得られなかったのが残念な点です。
 同じ問題は『クリード チャンプを継ぐ男』で、ラストの敵役である"プリティ"・リッキー・コンランのヤバさがいまいちわかりづらいという点にもあったかと思いますが、クリードの場合は「自分と戦う」ことがテーマになっている作品でありその点はかなりしっかり描かれていたためにあまり気になりませんでした。
 しかし本作品も、トビー・マグワイアの演技がいいのでボビー・フィッシャーという人間自体の変人・奇人・天才ぶりはちゃんとわかるようになってます。フィッシャーという人間の伝記映画として面白いのでおすすめです。


 ちなみに海外版ポスターはかっこいいと思う。
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